2023.09.07 家づくりの豆知識
断熱は重要?高断熱の住宅の見分け方と後悔しないための注意点を解説!
家づくりの情報を集めていると「夏涼しくて、冬暖かい家」や「快適に過ごせる家」といったフレーズはよく目にするかと思います。
ではその夏でも冬でも快適にするためには何が必要になるのでしょうか?
その答えはいくつかあるのですが、多くの方が真っ先にイメージされるのは「断熱性能」でしょう。
では断熱性能のある家、つまり高断熱の家とはどういったものでしょうか。
季節にかかわりなく快適な環境にしてくれるだけでなく、光熱費の削減にもつながる「断熱」についてお話していきたいと思います。
目次
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断熱ってどういうこと?
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なぜ断熱性能が高い方がいいの?
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高断熱住宅を見分ける「UA値」とは?
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高断熱の家を選ぶ時に後悔しない注意点とは?
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まとめ
1.断熱ってどういうこと?
住宅の断熱とは、外壁や屋根など建物の外部と接するところに断熱材を入れることで、外の温度の影響を室内で受けにくいようにしています。
こうして室内の温度が外気温によって奪われないように、熱が伝わりにくく施工することが住宅の「断熱」ということになります。
例えるならキャンプなどに使うクーラーボックスをイメージしてください。
夏場にキャンプ場で冷たいビールを飲みたいと思っても、ただの容器に入れておいたら暑さのせいですぐにぬるくなってしまいます。
でも、クーラーボックスに保冷剤と入れることで何時間も冷やしておくことが可能になります。
これは断熱されていることで、外気温が伝わりにくく、クーラーボックス内の冷気(熱)が外に逃げにくくなっているのです。
そして、このクーラーボックスの「材質と厚さ」が住宅でいう断熱材となります。
材質の性能が低かったり薄ければ当然、保温時間も短くなりますので目的に合わせた性能が必要となります。
2.なぜ断熱性能が高い方がいいの?
断熱性能は、特に冬場など厳しい気候の時の室内の快適性に直結します。
外が氷点下になったからといって、室温がどんどん下がってしまっては快適どころではありませんし、暖房をつけたとしても端から熱が奪われてしまいます。
つまり、断熱性能が足りない住宅は冷暖房の効率が悪くなってしまい、余分な光熱費がかかってしまいます。
逆に断熱性能が高い住宅では、温めた暖房の熱は外に逃げていきにくく、外からの冷気は室内に伝わってきにくいため、暖かいお部屋に適した環境になります。
当然、冷暖房設備の温度設定を抑え目にしても快適な室温にすることができるため、エアコンなどのエネルギー使用量が少なく済みます。
だから高断熱の住宅は光熱費を抑えられ、経済的にも優しい家になります。
また寒い日でも家の中が暖かければ当然快適ですし、ヒートショックを防ぐことができます。
ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が変動し、脳卒中・心筋梗塞などを引き起こしてしまう現象です。
特に寒い時期のお風呂場・脱衣場などで起こりやすいのですが、高断熱の家では急激な温度差が起こりにくいためヒートショックのリスクを軽減することができます。
3.高断熱住宅を見分ける「UA値」とは?
住宅の断熱性能を表す数値として「UA値」(ユーエーチ)があり、これは「外皮平均熱貫流率」といって、外皮(外に触れている部分)から熱がどれだけ外に逃げるかを数値化したものになります。
住宅メーカーや工務店などを検討するうえで、高断熱の住宅かを確認するのであれば「この家のUA値はいくつですか?」と聞いてみることが一番の近道です。
正直、省エネ化がどんどんと進んでいる現状で「分かりません」とか根拠もないのに「大丈夫です」という答えは論外だと思いますし、不安に感じるのではないでしょうか。
UA値とは熱がどれだけ屋外に逃げるかを数値化したものです。
見方としては数値が大きくなればなるほど=断熱性が低い(外に熱がたくさん逃げている)、逆に数値が小さければ小さいほど=断熱性能が高い(外に逃げる熱が少ない)となります。
感覚的な「暖かい、寒い」といった部分が数値化された、UA値(外皮平均熱貫流率)を知ることで、まずは高断熱住宅かを判断することができるといえます。
また経済産業省の推進するネット・ゼロ・エネルギー住宅、通称「ZEH」ゼッチでは従来の断熱性能よりも高い基準が設けられており、今後の住宅性能のスタンダードになっていきます。
・ZEH(ゼッチ)の地域ごとのUA値
※YKK ap 省エネ関連法規・制度のご案内より出典
4.高断熱の家を選ぶ時の注意点とは?
先ほど高断熱の家の見分け方としてUA値(外皮平均熱貫流率)を確認する、とお伝えさせていただきました。
ではその数値のみを判断材料としても良いのでしょうか?
残念ながら、そうとは言い切れません。
UA値は確かに断熱性能を知るうえで有効ではありますが、気を付けるべき点はいくつかあります。
まず、UA値はあくまで計算上のものだということ。
断熱材のバランスや実際の現場の施工精度を考慮しているものではありません。
断熱材のバランスというのは、屋根や壁の断熱材がどんなに高性能だったとしても窓の性能が悪ければ、当然窓から熱が逃げて暖かくはありません。
しかし、計算上は窓以外の断熱性能が高いため数値としては良く見えることがあります。
そして断熱のバランスが悪いと結露が発生します。
特に窓廻りは断熱材を施工した壁面に比べて性能が劣るために、結露が発生しやすい場所。
朝、カーテンを開けようとしたらビッショリ濡れている…なんとことを体験した方も多いのではないでしょうか。
このように断熱性能が劣る部分があると快適な室内環境にならないうえ、結露が発生して構造材を腐らせる原因になったり、ダニ・ノミなどの繁殖の原因になって快適な住環境からは程遠い結果となってしまいます。
また、UA値計算ではすべて断熱材の施工が欠損や施工不備がないことが大前提となっています。
万が一、断熱材の厚みが十分でなかったり構造材の間に隙間があると数値通りの性能がないどころか外壁と内壁の間で結露を起こし、構造材を腐らせる原因になってしまうことも考えられます。
そして最大の注意点は快適な住環境には断熱性能だけでは不十分だということ。
ここまでは断熱性能についてお伝えしてきましたが、気密性能や室内換気・躯体換気そして計画的な冷暖房、この5つの要素がそろって初めて快適な住環境を形成することができます。
まとめ
高断熱の家では温度差が少なることでヒートショックなどの健康被害を抑制し、エアコンなどの冷暖房の効率が良く光熱費を抑えられため経済的にも優しい家になります。
高断熱住宅の指標としてUA値(外皮平均熱還流率)という、「どれほど外に熱が逃げるか」を表した数値を用いますが、数値だけを鵜呑みにして判断することはお勧めしません。
快適な住環境にするためには建物の品質だけでなく、気密性能や室内換気・躯体換気と計画的な冷暖房の要素がきちんと組み込まれていることがより重要です。
優プランは寒さが厳しく、夏も暑い松本市や安曇野市に気候に合った高気密・高断熱・高品質の家づくりを提案しています。
新築住宅で「後悔したくない」とお考えの方はぜひご相談ください。
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この記事を書いた人
児玉 忠
中学生と小学生の2児の父で45歳、新卒時から23年間にわたり注文住宅のハウスアドバイザー一筋で、100棟以上の新築住宅のお客様をお手伝いしている。
ファイナンシャルプランナーでもあるため、住宅ローンの資金計画などを含めた総合的な提案を行っている。