2024.08.26 家づくりの豆知識
新築で使える補助金・助成金とは?家を建てるなら知っておきたい補助制度を解説します!
家は一生で一番高い買い物とも言われています。
こだわりのプランや高気密・高断熱といった性能や品質など、理想の家に近づければそれだけコストアップにもつながります。
当然住宅ローン借入金額や月々の返済額にも影響があるため、費用面で不安を感じることもあるのではないでしょうか?
ですが国や地方自治体から受給される補助金や助成金を使うことができればコストダウンにつなげることができます。
今回は当社オフィスのある長野県、特に松本市周辺で新築住宅を建てた時に使用できる補助制度を解説させていただきます。
目次
1. どうすれば補助金をもらえるの?
2. 国の補助金・助成金制度とは?
・子育てエコホーム支援事業
・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
・LCCM住宅整備推進事業
・給湯省エネ2024事業
3. 長野県の住宅助成金とは?
・信州健康ゼロエネ住宅助成金
4.松本市の新築時に受けられる助成金とは?
・勤労者住宅建設資金利子補給
・薪ストーブ購入者に対する補助金
5.補助金を検討する際の注意点は?
・補助金を重複して申請することはできない
・受付期間内の工期であること
・補助事業には予算があること
・申請には時間にゆとりを持つこと
・入居後にも定期的なメンテナンスが必要になる場合がある
6.まとめ
1. どうすれば補助金をもらえるの?
国が主体になっているもの、県や市などの地方自治体が主体となっているものなどいくつか新築時に申請できる補助事業はありますが、ただ家を建てれば補助金がもらえるわけではありません。
各補助事業には定められた性能や建材などの要件があり、それを満たすことで補助金や助成金を受けることができます。
事前に依頼する建築会社に希望の補助事業が申請可能かどうかを相談したうえで話を進めるのが良いでしょう。
2. 国の補助金・助成金とは?
一口に国の補助金といっても国土交通省や経済産業省など主体になっている省庁は異なります。
それではその中でどのような補助事業があるのでしょうか。
一つずつ紹介していきます。
・子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は読んで字のごとく子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を取得する際に受給できる補助事業です。
対象者は子育て世帯で申請する場合、申請時点において2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。若者夫婦世帯で申請する場合は申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯が対象となりますので、年齢などによって受けられないためご注意ください。
対象となる住宅は長期優良住宅、またはZEH住宅であること。
・長期優良住宅・・・1住戸につき100万円
・ZEH住宅・・・1住戸につき80万円
申請期間は2024年3月中下旬 ~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)となっています。
依頼した住宅会社が住宅省エネ支援事業者に登録されていることが必要で、担当者が申請手続きを行います。
⇒ 子育てエコホーム支援事業
・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは、高い断熱性能・省エネルギー設備を備え、年間を通じて消費するエネルギー量を自家発電で賄うことができる住宅のことを指します。
つまり、太陽光発電システムの設置を大前提とした補助事業になります。
さらに強化外皮基準という、断熱性能を表すUA値を一定以上の性能でクリアして一次消費エネルギーの消費量を太陽光発電での発電量が消費量を上回っていることで対象となります。
公募期間が決まっているのでそのタイミングでの申請が必要となります。
通常のZEHと、さらに外皮性能のさらなる強化に加えて高度エネルギーマネジメントや電気自動車を活用した自家消費の拡大措置を行うことで補助金額を加算したZEH+があります。
さらに蓄電システムや地中熱ヒートポンプ・システムなどの採用により追加設備等による加算がありますので、希望の条件と会う場合は検討するのも良いでしょう。
・ZEH・・・1住戸につき55万円+追加設備等による加算
・ZEH+・・・1住戸につき100万円+ハイグレード使用補助金+追加設備等による加算
補助を受けるためには、依頼した建築会社がZEHビルダーである必要がありますので、事前に確認しておきましょう。
⇒ ゼロ・エネルギー・ハウス補助金
・LCCM住宅設備推進事業
LCCMは(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)の略です。このLCCM住宅整備推進事業は、温室効果ガス排出量の削減し、環境に優しい住宅の建設を支援する制度です。
主な事業要件は強化外皮基準(ZEH水準の断熱性能)を満たすもの、再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されているものライフサイクルCO2の評価結果が0以下となるもの などがあげられます。
補助金額は140万円ですが、令和6年度の受付は終了しています。
令和7年もあるかもしれませんので、検討されている方は要チェックですね。
⇒ LCCM住宅設備推進事業
・給湯省エネ2024事業
給湯省エネ2024事業は、家庭でのエネルギー消費を抑えるために、大きな割合を占める給湯分野について高効率の給湯器の導入を支援しています。
対象となるのはエコキュートなどのヒートポンプ式の給湯器や、ECO ONE(エコワン)のようなヒートポンプとガスのハイブリッド給湯器、エネファームのような家庭用燃料電池を採用した住宅となります。
補助金額はまずそれぞれの給湯器に基本額が定められており、さらに高性能な要件を満たした場合は性能加算額が加算されます。
各給湯器の基本額
・ヒートポンプ給湯器(エコキュート)・・・8万円
・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(エコワン)・・・10万円
・家庭用燃料電池(エネファーム)・・・18万円
こちらの補助金はリフォーム工事でも対象になります。
補助金額は大きくないものの、条件を達成しやすい補助事業ですので仕様変更のコストを抑えつつ補助金を受けられるのがメリットといえますね。
⇒ 給湯省エネ2024事業
3. 長野県の住宅助成金とは?
これまでは国で行っている住宅補助事業を紹介してきましたが、長野県独自の助成金もあります。
それが「信州健康ゼロエネ住宅助成金」になります。
この信州健康ゼロエネ住宅とは、高い断熱性能を有し、信州の恵まれた自然環境と森林資源を活かし、エネルギー使用量を実質ゼロにする木造住宅で特徴は大きく分けて4つあります。
・環境にやさしい・・・信州の環境ピッタリで地球温暖化防止に役立つ
・身体にやさしい・・・健子をサポートしてヒートショックの予防になる
・家計にやさしい・・・家族も喜ぶ光熱費の節減と災害時用の非常電力も備える
・強くてやさしい・・・耐震性能向上で災害にも対応している
補助事業の内容は外皮性能や省エネ性能に最低基準・推奨基準・先導基準の3種類設けられていてそれぞれ補助金額が異なります。
また必須要件の9つの基本項目をクリアすることで基本額、さらに任意で8つの選択項目によって項目ごとの加算額をプラスすることができます。
助成金額
最低基準・・・基本額50万円 (上限110万円)
推奨基準・・・基本額120万円 (上限150万円)
先導基準・・・基本額140万円 (上限200万円)
基本項目【必須】
1. 一戸建ての木造住宅※6(又は店舗等の床面積が1/2未満の店舗等併用住宅)
2. 住宅部分の床面積が75~280平方メートル
3. 県内に主たる事務所を置く者が施工
4. 一般向けの住宅見学会を実施※7
5. 住宅部分が最低基準※3、推奨基準※4又は先導基準※5に適合
6. 建築用材として県産木材を3立方メートル以上又は仕上材として30平方メートル以上使用
7. 耐震性能(以下の(ア)~(ウ)のいずれかを満たすもの)
(ア)建築基準法施行令第46条に定める壁量の1.25倍
(イ)住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条第1項に基づく住宅性能表示基準の耐震等級(倒壊等防止)等級2以上の取得
(ウ)長期優良住宅の普及の促進に関する法律第6条に基づく認定の取得
8. 災害危険区域※8及び土砂災害特別警戒区域※9の範囲外
9. 再生可能エネルギー設備等を設置※10(太陽光発電システム(システム容量3kWh以上)又は木質ペレットストーブ・薪ストーブに限る。)
以上すべての条件を満たしている必要があります。
さらに基本額にプラスされる加算額は以下の項目通りです。
選択項目と加算額
(1)県産木材を0.12~0.16立方メートル/平方メートル使用・・・10万円
県産木材を0.16立方メートル以上使用・・・20万円
(2)伝統技能を活用
(左官仕上げ壁、国産瓦ぶき、県内業者製作の木製建具及び畳のうちいずれか2つ以上)・・・10万円
(3)太陽熱利用給湯システムの設置(集熱面積4平方メートル以上)・・・10万円
(4)蓄電池(蓄電容量4kWh以上)の設置・・・10万円
(5) V2H充放電システムの設置(充電3kw以上、放電3kw以上)・・・10万円
(6)地中熱ヒートポンプシステムの設置(クローズドループ又はオープンループ)・・・10万円
(7)県が定めるゼロエネルギーを達成・・・20万円
(8)長期優良住宅認定の取得・・・10万円
最低限ZEH基準以上の外皮基準と長野県産材を活用はともかくとして、太陽光発電システムまたは薪ストーブなどの採用が必須となりますので自分のイメージしている家と合致しているかを検討することが大切です。
⇒ 信州健康ゼロエネ住宅助成金
4.松本市の新築時に受けられる助成金とは?
県だけでなく松本市でも新築の際に補助を受けられる制度があります。
これまでの新築補助金とは異なり少額ではありますが、もとから検討されていた方にとっては十分プラスにはなりますので積極的に活用しましょう。
・勤労者住宅建設資金利子補給
勤労者の住宅建設を援助促進するため、長野県労働金庫から融資を受けて、市内に住宅を新築または増改築をした場合に利子の一部を補給する制度となります。
補助金額の限度額は6万円です。
長野県労働金庫で住宅ローンを組むことと、自己または扶養親族が居住する専用住宅であること、延床面積が40平方メートル以上280平方メートル以下であることが条件となります。
・薪ストーブ購入者に対する補助金
松本市では再生可能エネルギーの利用及び森林資源を持続可能な形で活用するため、薪ストーブ等の購入者に対し補助金を交付しています。
補助金額は、本体の購入に要する費用の2分の1以内とし、上限は10万円となります。
もともと薪ストーブを採用予定の方は利用するとよいでしょう。
5.補助金を検討する際の注意点は?
以上様々な補助事業がありましたが、利用するうえで知っておくべき注意点がいくつかあります。
場合によっては労力を費やしたものの補助金を受け取れないことにもなりますのでご注意ください。
・補助金を重複して申請することはできない
これまでご紹介させていただいた補助金は基本的に同時に申請することはできません。
国の補助事業である子育てエコホーム支援事業とゼロ・エネルギー・ハウス補助金を併用できないのは当然でもあるのですが、県の助成事業である「信州健康ゼロエネ住宅助成金」とも併用はできません。
ですが市の補助事業は併用可能なものもありますので確認しましょう。
・受付期間内の工期であること
これら補助事業は基本的に年度ごとに決められています。
そのため受付期間が決まっているので、ご自身の建築計画が当てはまるのかを事前に確認しておくことが大切です。
補助金を前提に資金計画を組んでいた場合は100万円単位で計画が変わることにもなりますので、特にご注意ください。
・申請までの時間にゆとりを持つこと
上記でも触れましたが補助事業は受付期間が決まっていますので、それに合わせて申請を行う必要があります。
ただ申し込みをすればよいという訳ではなく、実際に着工していなければいけなかったり外皮計算などを行っておく必要があるため、事前準備のための時間を見込んでおく必要があります。
補助金目当てに駆け込みで契約したものの、結局補助金を受け取ることができないということにならぬように計画的に家づくりを進めましょう。
・補助事業には予算があること
こうした補助事業はすべて予算が決まっています。
例えば子育てエコホーム支援事業の場合、新築では2,100億円の予算となっておりますが、申請が予算に達した時点で補助金は締め切られます。
公式ホームページなどで補助金の申請状況が確認できるので、事前にチェックしておきましょう。
・入居後にも定期的なメンテナンスが必要になる場合がある
子育てエコホーム支援事業の補助金を受けるために長期優良住宅の認定を受けた場合、30年以上の期間にわたり10年以内の間隔で建物の点検が義務付けられています。
定期点検を含めた維持保全の状況について報告を求められた場合は、所管行政庁に報告しなければなりません。
その義務が果たされていない場合罰金や、長期優良住宅により受けられていた優遇措置の返還を求められる場合もありえます。
補助金目的で住宅の仕様を選ぶのではなく、入居後も考えたうえで選ぶようにしましょう。
6.まとめ
新築の家、それも注文住宅ともなるとどうしても費用について気になるかと思います。
「性能の高い家が欲しい」「地震に強い家が欲しい」など、高性能な住宅をお考えであるならこうした補助事業はうってつけだと思います。
ですが補助事業の要件に合わせた仕様変更であったり、申請のための手続きであったり補助金をもらうためのコストもかかってしまうのも確かです。
建築費を安くするために補助金をもらうのではなく、「高性能にすることでコストアップする金額の一部を補助金で賄い、将来的にかかる光熱費やメンテナンス費用を抑えられる家にする」とお考えいただく方がより現実的だと思います。
各補助事業には細かい規定や仕様が決まっています。
ご要望とその補助事業の内容が合致しているか?など、まずは何でもご相談ください。
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